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みぎまつコラム

社会保障

子ども・子育て新システムの問題点

2012年04月30日

 4月28日の午前中に、宮崎県保育連盟の青年部と私たち自民党宮崎県連の青年局および厚生部会のメンバーとで、「保育制度について」意見交換会を開催しました。

 宮崎県保育連盟の方々も大変な危機感を感じておられましたが、私も、今、政府が進めようとしている、いわゆる「子ども・子育て新システム」は、非常に大きな問題をはらんでいると認識しています。この新システムが、その趣旨である「子ども達に良質な成育環境を保障する」ことに、はたしてつながるものなのか、はなはだ疑問であり、むしろ、保育の質を低下させてしまう懸念の方が強いと言わざるを得ないと感じています。

問題点として、

 1.市町村の義務から、保護者と園の民民関係になる。

 このことは、弘中講師も力説されてましたが、児童福祉法24条(市町村に保育の実施義務があること)が取り払われることとなり、児童福祉の在り方そのものが大きく変質するという問題が出てくる。企業(株式会社)の更なる参入をうながすもので、人間形成で極めて大事な幼少時の児童福祉の教育分野が産業化することも考えられ、当然、営利が伴えば良質な成育環境が保障されるとは限らない。(認可制から参入も撤退も自由な指定制)

 2.子どものことを考えた「子育て、子育つ」の議論が、制度設計の過程でまったくされていない。

 まずは親が自らの子どもを教育する、第一義的責任があって、そして保育施設や社会がサポートするという、我が国の子ども教育の原点が失われようとしている。

 3.学童保育の格差

 市町村の格差、園の格差が広がり、保育のオプション化も進むことは、家庭の経済格差が学童保育に持ち込まれることとなり、 結果的に親の経済的・精神的負担が大きくなり、子どもにも無理を強いることにつながりかねない。(オプションや認定された保育の時間を超えれば、すべて自己負担の制度設計)

 上記以外にも、保育時間の認定が非常に難しくなる問題点や家庭の世帯内容や資産・収入を官公署や金融機関に情報を求めることが出来るというプライバシーにかかわる問題点など、多くの問題をはらんでいます。

 教育の本質的な意義、そして、子どものこと、ならびに教育現場に、しっかりと軸足をおいた議論が必要です。

宮崎県議会議員 右松たかひろ

2012(平成24)年度, 社会保障

介護保険制度の問題(1)~介護予防サービス

2008年08月30日

 我が国は世界に類を見ないほどのスピードで超高齢社会に突き進んでいます。65歳以上の高齢者人口が20%を超えており、15年後には30%に達すると予測される中で、社会保障の各種制度が財政上破綻を来たし維持できなくなり、窓口負担率の引き上げや新たな負担増に繋がる制度を設けていることが、国民の社会保障制度の将来に対する危機感や不信感を増大させていると言わざるを得ません。介護保険制度も従来の老人福祉法、老人保健法では所管できなくなり、別財源に独立移行となり、平成12(2000)年4月から40歳以上の国民に負担を新たに課すことになった制度です。施行から8年が経過した今、サービス利用者や事業所など現場の声に沿って、現状の諸問題および制度の方向性も含めてしっかりと検証していく必要があります。

 制度発足から5年ごとに見直すことを定めていたことで、平成18(2006)年4月に介護保険が改正されました。実は、この改正介護保険で様々な問題・課題が露呈してきています。今回はその中で、介護予防、自立支援に重きを置いた内容改定が果たして有効機能しているのかどうか、財政軽減が先行するあまり利用者の不満を助長し、介護予防や自立支援などの目的からはむしろ逆行した実態を生み出してはないか、という問題を採り上げたいと思います。

 厚労省の策定した制度改正によって、主に要支援1,2は、地域包括支援センターの保健師が予防ケアプランを作成することになりましたが、規定変更で利用者の年齢や希望にそぐわないサービス内容になっている事例(例えば、高年齢で筋トレなどの機能訓練など)が出てきていることがまず一点。そして二つめに、同居家族がいれば要支援者は訪問介護を受けれなくなってしまうことで、家族の負担が制度の発足前の状態にまた戻ってしまっている点が挙げられます。さらに、予防給付になり単位数の関係から、デイサービスの入浴ケアが受けれなくなった例や利用回数が減らされた例も出ています。このように、厚労省が策定したサービスの一律カットによって、利用者の利便性や心身機能をも損ないかねない問題が生じてきています。要介護者への訪問介護についても、個別の事情に関わらず介護報酬が以前の1時間30分に相当する額で打ち切りになったり、自立支援の名目で家事や行動を分担していくというサービス内容の変更で利用者や家族の負担が必要以上に増している問題も無視できなくなっています。

 政府および厚労省は、要支援や要介護の利用者とその家族の実情に沿ったサービス内容を揃えていくことと、ケアマネージャーの養成に力を入れていくと共に、指導や規制権限で全てを縛るのではなく、個別の勘案はケアマネージャーに委ねていくような柔軟性や臨機性を現場に持たせていくことも考えていかなければならないと思います。

右松たかひろ

2008(平成20)年度, 社会保障

医師不足の問題について~臨床研修制度~

2008年08月02日

 全国の公立病院、自治体病院の多くが経営難に陥っており、地域医療体制は崩壊の危機にさらされています。千葉県銚子市で、市内唯一の公立病院が来月(9月)いっぱいで閉鎖になることが明らかになりましたが、それを受けての市民のコメントで、「市役所がなくなるよりも、この病院がなくなる方がよほど困る」との発言が印象に残りました。この極端な発言に、地域住民の切実なる生の声が代弁されていることを、国政、厚労省、総務省、自治体は再認識しなければならないと思います。自治体病院の赤字経営は随分前から指摘されています。10年前には既に、全国の自治体病院の約半数が補助金を投入しても赤字状態になっています。民間病院の設備および医療水準向上や数の増加に伴い、自治体病院の設立当初の目的が薄れ存在意義が問われたり、非効率な経営体質を指摘されることもありますが、救急サービスを始め不採算分野を担ってきたこともまた事実です。また、地域で唯一の公立総合病院のところも少なくないことから、地域医療現場の実態をしっかりと把握し、有効な手立てや政策の見直しを図っていくことが喫緊の課題であります。

 全国で約1,000ある自治体病院の内、10年前の5割から今や約9割が赤字経営といわれています。その厳しい経営状況に追い込んだ一つの要因として、2004(平成16)年に改正した「臨床研修制度」がクローズアップされてきています。給与や保障、労働条件などで劣悪な研修環境であった大学の卒後教育の見直しを図る目的で改正されたわけですが、施行後の新たな問題としてマッチング制度が浮上してきています。研修先を自由に選べるようになったことで、研修医が都市部の病院に集中するようになり、それを端(たん)に地元大学病院が関連病院への派遣医師を引き上げることで地方の病院で医師不足に拍車がかかり、前述の銚子市立病院のように閉鎖に追い込まれる自治体病院が出てきました。病院による医師の受け入れ競争も過剰になってきており、競争力の無い病院は地域で必要な病院でさえも淘汰されるという過酷な状況になってきています。地域医療の崩壊にも直結する医師不足は看過できないところまできており、白い巨塔で社会問題になった大学病院の医局制度の透明性といかに両立を図っていくか、今、地方の医療現場は重大な局面に立っています。

右松たかひろ

2008(平成20)年度, 社会保障

後期高齢者医療(長寿医療)制度について

2008年04月06日

 今月から新しい医療制度である「後期高齢者医療制度(通称・長寿医療制度)」が施行されました。国民皆保険制度を維持していくためとはいえ、75歳以上の方々を一律に新制度へ編入していくことや現役世代も含めた保険料の負担増、更には年金からの天引きという徴収方法については得心のいくものではありません。医療費の伸びが十分に予測できたにもかかわらず、医療業界の改革を怠り、財政不足に至った根源でもある省庁の無駄遣いから眼を背け、国民や地方にツケを回し、なかんずく社会的経済的に弱い立場にある人を守れなくなっている現状を表しているような新制度と言わなければなりません。と同時に、ここ数年推し進めてきた構造改革路線のあり方とも密接に結びついている制度と言えます。構造改革路線によってもたらされたもの、失われたものを冷静に振り返り、何のための改革だったのか、そしてどのような社会へ進もうとしているのかを世論喚起していかなければならないと思います。

 本格的な少子高齢化社会を迎えて、毎年1兆円を越す国民医療費の伸びが年々国家財政を圧迫してくる中で、医療費の抑制はまさに政治の命題でありますが、そのことが医療サービスの低下を招いたり、いわば高齢者の切り捨てにつながるようなことがあってはならないと存じます。また、政局が優先され、一時凍結による負担増の先送りも問題の解決にはまったく意味をなしません。国民皆保険制度の破綻を回避するため安易に国民負担を強いるようでは、政治への信頼回復は遠のくばかりです。

 年金制度と同様に、国民皆医療の制度存続には国民も大変な危機感を持っているわけですから、国民の最後の拠りどころである政治は、その責任をしっかり果たさなければなりません。医薬や医療機器業界も含め、質の良い効率的で透明性の高い医療システムを構築することで患者・国民のための医療改革を実現していくことと、監督省庁の厚生労働省および外郭団体における経費削減、無駄遣いの一掃がまずは真っ先に行われて然るべきと存じます。

右松たかひろ

2008(平成20)年度, 社会保障

年金制度改革について(1)~税方式へ~

2008年03月15日

 平成9年の基礎年金番号の導入により表面化した、いわゆる失われた5000万件といわれる年金記録の統合問題について、政府が公約する年金記録の名寄せの期限が今月末に迫っていましたが、作業自体は一応完了するも、依然として2025万件が特定困難と分かり、今後に大きな課題を残しています。4月以降も特定困難分の照会作業は継続されるようですが、住基ネットと突き合わせの作業をしても、多くのものは本人からの申し出がない限り統合が不可能なようで、氏名の転記ミスや変更手続きの周知や確認不足など、社保庁の低い事務処理能力やずさんなデータ管理体制、体質的な責任感の欠如が改めて浮き彫りとなりました。年金事業を引き継ぐ「日本年金機構」には、ぜひ徹底的な体質改善を促したいと思います。

 国民の消費マインドや社会モラルにも多分に影響を及ぼす年金制度への不信感や納付率の低下という負の連鎖を断ち切るには、制度の抜本改革が不可欠と存じます。現行制度そのものが非常に複雑で分かりづらく役人本位の制度となっていますので、もっと簡素化し国民本位の分かりやすい制度に大転換をはかる時期に来ています。現時点での私の考えですが、ここまで制度の破綻が顕著になり、高齢者人口の増加に伴う将来不安が露呈していることを鑑みますと、やはり税方式への移行は致し方ないと考えます。ただそれには、行政・特別会計改革を断行し、無駄遣いを一掃することで財源を確保した上での最小限の税率付加が条件と考えます。現状の官僚主導による国会運営において自らの身を削る改革になりますので、国民注視の中で、政官はしっかりと自浄能力を示さねばなりません。併せて、出来るだけ早い段階で新年金制度の詳細な全体像を打ち出し、国民的議論を巻き起こすべきと存じます。

①すべての高齢者に一律に給付する基礎部分、いわゆる最低保障年金は税財源とする。
②今までの納付分や現役時代の所得比例による積み立て拠出分は2階部分として給付する。

を大きな軸に、年金支給額や消費税率を明確に提示していきます。例えば、最低保障年金を月7万円とすると、高齢者人口の2700万人で22兆6千800億円の財源が必要となり、消費税1%を2兆4千億強とした場合、9%程度の財源が必要となります。行政・特別会計改革によって財源を捻出するのであれば、消費税相当分も減らすことが出来るわけですから、国民の支持を得るには当然、具体的な行革案とともに新年金制度を打ち出すことが賢明の策と言えます。また、地方に配分している消費税収もありますので、実際には更なる税負担は必至となることから、あくまでも、行革による財源捻出案とのセット提示こそが国民の求めるところと考えている次第です。

右松たかひろ

2008(平成20)年度, 社会保障

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