2008年03月16日
人権擁護法案にひそむ危うさは、様々な見識者が指摘するところであります。私自身も、6年前国会に提出された法案の中身に目を通したり各種資料を参照するにつれ、少なからぬ危惧の念を抱かざるを得ません。平成15年に総選挙のため廃案になり、17年には国会上程阻止に至ったにもかかわらず、今また、今国会中の同法案提出を目論む動きが活発化しています。与党の人権問題調査会では、会合を重ねているようですが、コンセンサスも経ず、拙速に法案提出がなされるようなことは許されるものではありません。ぜひ、以下の論点設定で、丁寧な意見集約の下、しっかりと合意形成を図って頂き、方向修正をお願いしたいと存じます。
一、何を持って人権侵害とするのか、「人権侵害の定義」を明確にする。
明確な定義がなければ、恣意的な判断や拡大解釈がまかり通り、一部の人達による一方的な運用さえ認められる危険性をはらんでいます。人権擁護の目的から逸脱し、新たな人権侵害を生む可能性が十分にあります。
二、強力な権限を持つ「3条委員会」としての扱いが果たして適当なのかどうか。
公正取引委員会や国税庁と同じ強力な権限を持つ必要性が果たしてあるのでしょうか。裁判所の令状もなく家宅捜索や罰則措置が取れる強権が、法治国家としてふさわしいでしょうか。
三、人権擁護委員の選定基準の不明瞭さ及び国籍条項除外の見直し。
どのような方が人権擁護委員のなり手になられるのか。思想的に偏りなく、万人共通の常識的な判断ができる方になって頂けるのか。選定過程において透明性を保つ工夫がなされるのか。少なくとも、これだけ行使力があるにもかかわらず国籍条項を外すことには理解に苦しみます。
四、憲法が認める国民の権利(言論や表現、政治活動の自由権)との整合性を図る。
原文のままに法案成立となると、「自由と民主主義」が侵される事態となり、我が国のかたちが変質するのは必至であろうと考えます。
これはまさに、一般国民の利益を代弁すべき政治家の存在意義、政治姿勢が問われているのだと思います。国の未来に責任を持つという原点に政治家は立つことを求められています。
右松たかひろ
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