2009年01月06日
21世紀が、石油文明社会からの脱却と新エネルギーへ転換を図る世紀であることは、衆目の一致するところであります。地球温暖化を始めとする環境破壊に歯止めを掛けなければ人類の生存をも危ぶまれることは必至で、石油依存や大量生産、大量消費の社会構造・パラダイムをシフトしていくことが、現代国際政治の果たすべき使命と言えます。我が国は、脱石油社会を見据え、高度な技術力と海洋及び水が豊富な地理的利点を生かし、新エネルギーと環境問題における、世界のリーディング・カントリーとしての地位を確立しなければなりません。
新エネルギーの中でも、今回はとりわけ、バイオマスとマイクロ水力(小水力)エネルギーに焦点を当てていきます。まずはバイオマスエネルギーですが、家畜糞尿など畜産、食品・生ゴミなどの廃棄物系バイオマス資源や間伐材・木くず・ワラなどの未利用バイオマス資源を利活用して循環型社会を目指す取り組みとしては6年前から国策としても進めています。「バイオマスタウン構想」として平成22年に300地域程度を目標に、バイオマス利活用に取り組む市町村を募集しており、現在159地域(平成20年11月末)が公表されています(地元の宮崎県内では、3地域~小林、門川、都農)。今後は、各自治体においても、より本構想に積極的に取り組んでいくことが、地域資源の循環利用による地域発の温暖化対策としても、新たな産業形成による地域活性化という面においても大切になってくるものと考えます。私の地元・宮崎県は、全国でも有数の農業・畜産王国で、森林も県土面積の7割を占めていることからも、新エネルギーの開発・地域資源の利活用は、注力しなければならない分野であります。
次に小水力エネルギーについてですが、中小の河川や上下水道、農業用水路などの高低差を利用した発電であり、ダム建設などによる環境破壊にもつながらず、自家消費型、地域分散小電力、或いは中山間地域での発電としても、そしてもちろん再生可能なクリーンエネルギーとしても注目されます。今後は設置等の法的整備や機材コストやランニングコストの削減も進め、利用拡大を促す分野にしていかなければなりません。我が国は40万kmにも及ぶ農業用水路が整う「瑞穂の国」であり、森林からの水資源が豊富な利点があることからも、マイクロ水力(小水力)はそれを十分に生かした代替エネルギーと言えます。
右松たかひろ
2008年09月11日
地球温暖化の影響が深刻になって来ています。まずは、気温がこの100年で0.74℃上昇しており、かつ最近の50年は過去100年の上昇速度の2倍になっていることから、まさに異常なスピードで温暖化が進んでいることが分かります。海面水位も、この100年で17cmも上昇しており、気温と同様に最近の10数年でより加速度的に海面上昇しています。そして、積雪や氷河も広範囲で減少しており、グリーンランドと南極の氷床の減少が海面上昇に寄与した可能性が高いと指摘をされています。
この地球温暖化が、世界の自然環境や生態系に異変を与え、異常気象の頻発が人間社会にも多大な影響を与え始めていることは既に明らかな状況となっております。生態系では、昼夜の温度差の縮小によって熱帯地域に生息するカエルなどの両生類が絶滅したことや、渡り鳥の繁殖期における餌の減少によって個体数が大幅に減少したことなどが報告されています。人間社会においては、強い台風、集中豪雨やハリケーン、干ばつ、熱波などが頻繁に発生し、甚大な被害を被っていることは、私たちも実感をするところです。降水量の年変動が強まり、農作物の品質低下や生産性の減少など、食への影響も不可避になって来ています。また温暖化が原因で、アメリカ西部を中心に森林火災が30年前と比べて4~6倍以上に増加しているとの報告も上がってきています。
地球は、二酸化炭素や水蒸気などの「温室効果ガス」によって、大気が暖められています。仮に、温室効果ガスが存在しなければ、地球の気温は-19℃になるといわれています。このように、人類や生物が生きるためには不可欠な温室効果ガスですが、産業革命以降、石油や石炭など化石燃料を大量消費してきたことで、大気中への二酸化炭素の排出が急増し、温暖効果も強まり、地表の温度が上昇してきたわけです。従って、近年の急激な地球温暖化は、人間の生活活動によってもたらされたものと言えます。温暖化は今後100年の間に、少なくとも過去100年の倍の早さの1.8℃から五倍もの速さの4.0℃まで上昇すると予測されています。そうなれば、地球規模で甚大な悪影響を及ぼすことは必至で、それは人類の危機を意味します。温暖化対策は、現代に生きる私たちに課せられた重大な使命であることを認識し、エネルギー転換も含め有効な対策をしっかり講じていくことが、今強く求められています。
次回は、温暖化対策について考えていきたいと思います。
右松たかひろ
2008年03月08日
エネルギー開発、資源の獲得は、国策上も極めて重要な施策になってきます。かつても今も、エネルギー争奪競争でしばしば国際社会が揺らぐほど、世界主要国はエネルギー戦略の確立に余念がありません。まさに、国益と国益が衝突するのが、エネルギー問題の本質であろうと思います。従って、エネルギーの安定供給を図ること、更には自国生産に取り組むことは、国家戦略の重要な柱と言って過言ではないと存じます。ましてや今日のように、投機筋の影響もあり、1バレルが106ドルを超えるという異常なNY原油価格の高騰によって、国民や国内のあらゆる業界が大きな打撃を受けていることを鑑みますと、自国での開発と供給が成功することは重要な意義をもたらします。
先日(5日)、新潟東港から8キロの聖籠(せいろう)沖で、掘削する位置の確定作業が始まり、今後、海底から4,300メートルほど掘り進めて、原油や天然ガスの生産の可能性を探ることになりました。6月からの胎内市沖合いの試掘と併せ事業費がおよそ100億円とのことですが、海底の地下構造が岩船沖油ガス田とつながっていることから、関係者を含めて大きな期待を寄せている方も少なくないと思います。また、掘削位置が、東シナ海でのガス田開発で中国と領海線を巡って紛糾するのとは対照的に、我が国の完全な領海内ということも安心できる要因です。とかく、近海の資源獲得において弱腰外交と指摘されることもありますが、それ程に彼の国のなりふり構わぬ姿に常識的な友好交渉が通用しないとすれば、尚のこと新潟沖での試掘が成功することを願う次第です。
今回は、原油・天然ガスについて述べさせて頂きましたが、化石エネルギーに代わり、国益に資する「新たなエネルギー戦略の確立」も、我が国に求められる命題ですので、そのことはまた改めて触れたいと存じます。
右松たかひろ
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