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みぎまつコラム

危機に直面する日本農業(1)~食料自給率~

2008年06月10日

 戦後日本の食料自給率が著しく低落をした要因に、1961年に制定された「農業基本法」を挙げる方が少なくないと思います。日本農業の現状、各種数値結果を見る限り、明らかな失政であり、官僚の失態とも言うべき、この法律は1999年に「食料・農業・農村基本法」に移行され廃止となったわけですが、今は過去の農業政策を様々な角度で検証し、本質的に見直すと共に、現場である農家の声も汲み取った内容へと転換しなければならないと考えます。農業基本法が制定される前年の昭和35年に、食料自給率および穀物自給率が各々79%と82%あったものが、基本法の制定後は低落の一途をたどり、直近の平成18年には各々39%と27%まで落ち込んでいます。エネルギー政策と同様、国益や国家戦略上、その中核を成すはずの食料政策をおろそかにしてきたツケは極めて大きいと言わざるを得ません。今、仮に有事や飢餓が発生すれば、各国は輸出を緊縮して国内供給を優先するのは明らかで、我が国の食生活は、たちどころに立ち行かなくなります。

 先進諸外国と比べると更に、我が国の食料自給率の凋落がいかに深刻なものであるのかが分かります。アメリカは昭和36年の119%から平成15年に128%に上昇、イギリスは同42%から同70%に上昇、フランスは同99%から同122%に上昇、我が国と同じく先の大戦で敗戦したドイツも同67%から同84%に上昇しているわけです。このことからも、日本の自給率低下が先進諸国の中でも日本特有の現象であることが理解出来ると思います。

 食料自給率の低下を、食生活の変化や米の消費減退、畜産物や油脂等の消費増大に原因があるとする前に、過去の農政の失敗を自覚することがまず先であり、それが出来なければ、同じ轍を踏み、日本の農業はまさに崩壊してしまうのは自明であろうと思います。農業基本法に、「食糧安全保障」という観点が欠落しており、作物の選択的拡大生産や農家の自立など、掲げた目標の達成も図られていない現実を考えていかなければなりません。

 8年前に公表した「食料・農業・農村基本計画」で、初めて食料自給率の目標を定めたことは一定の前進ではありましが、残念なことに現状において掲げた目標を達成する可能性は低いと言わざるを得ません。公表から10年後、即ち2010年度の目標数値が、食料自給率の45%に対して2006年が39%(前年比-1%)、穀物自給率が30%に対して27%(前年比-1%)になっている次第です。今は、農水省の功罪をしっかりと検証し、机上の論理ではなく現実を直視し、現場を知悉した上で、政策を立て遂行していかなければならない時だと思います。

 存亡の危機に立たされる我が国の農業について、第一回目は食料自給率という農政課題を取り上げました。今後順次、様々な農政課題について問題提起してまいりたいと思います。

右松たかひろ

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