
2008年06月23日
「幾たびか辛酸を歴(へ)て、志始めて堅し。丈夫玉碎(ぎょくさい)して甎全(せんぜん)を愧(は)ず。」
西郷精神を凝縮した「南洲翁遺訓」の第5条の教えです。現代語に訳すと、少々激しい言葉となりますが、「人の志というものは、何度も何度も、つらいことや苦しみを経て、始めて固く定まるのである。真の男子たる者は、玉となって砕けることを本懐とし、志を曲げ、瓦となって、いつまでも生きながらえることを、恥とするものである」となります。ご存知の人も多いと思いますが、西郷は、二度4年8ヶ月にわたる遠島生活(潜居と流罪)を余儀なくされています。二度目は、囲牢(かこみろう)といって、流罪の極刑を受けています。激動する時代の渦中で、政局から疎外された環境に身を置かなければならなかった心境は、想像を絶するものがあり、失意の底にいたにもかかわらず、西郷はこの雌伏の時期に、「敬天愛人」に代表される、自らの人生哲学を醸成したといわれています。再び生還はありえないといわれた処罰を一身に受け、それを糧とし、人生修養の充電期間にあてることで、のちの雄飛につながり、大西郷たる大人格が完成されたのだと思います。痛烈に厳しい艱難と辛酸が、西郷たらしめた所以とも言えます。
「人を相手にせず、天を相手にせよ。天を相手にして己を尽くし、人を咎(とが)めず、我が誠の足らざるを尋ぬべし」、「天を敬い、人を愛する」というあまりにも有名な言葉が、西郷隆盛の比類なき人物を表しています。 私利私欲や功名心、財産を欲する人間の業(ごう)が渦巻く中で、私心を除き、利他の心、天道に沿う生き方を実践した西郷の下に、命を惜しまぬ志ある者たちが吸い寄せられ、遂に維新という国家の大事業が完成したわけです。今は、「信念のある政治家」と「徳のある政治家」が一人でも多く出てこなければならない時と考えます。徳が軽んじられる政治であってはならないと思います。「侍」の心を持った、真のリーダーが仰望される時なのだと思います。
試練が人をつくる、といいます。雌伏の時の過ごし方で人生が決することを考えれば、西郷の超越した大人格や思想は度重なる苦難の中で練磨され培われたものになります。そして「志」とは、少々の苦しみで諦めるようなものではなく、むしろ苦しめば苦しむほど志が確固たるものになっていくということを、西郷さんが現代の私たちに教えてくれているのだと感じております。
( 城山から眺める桜島の雄姿)~平成16年10月12日撮影~(城山の西郷洞窟)
右松たかひろ
2008年05月05日
私の私淑する歴史上の人物で、まず真っ先に挙げたい人が、明治維新の胎動を起こした、不世出の指導者、吉田松陰です。吉田松陰という人物は、「至誠」と「知行合一」を抜きにして語ることはできません。 私は、現代日本の政治リーダーに、最も必要とする資質こそが、この至誠と知行合一だと思います。「至誠」とは、読んで字のごとく、極めて誠実なこと、真心(まごころ)・誠を尽くすことです。そこには、軽薄さや姑息な心は微塵も存在しません。そして、人を信じ、他人を活かすためには自己犠牲をもいとわない、高尚で純粋な心を松陰は持っていました。獄中で書いた遺書ともいうべき「留魂録」に、「私が死んだのち、もし同志の諸君の中に私の真心を憐れみ、志を受け継いでやろうという人がいるなら、それはまかれた種が絶えずに穀物が年々実っていくのと同じである」と書き記しています。天下国家のためには自らの死を持ってしてでも、同志に後世を託す、その至誠は人間として究極の美学であると深く感じ入ってしまいます。また、松陰を象徴するもう一つの言葉である「知行合一」は陽明学の真理でもあります。松陰は常々、門下生に「学者になってはいかぬ。人は実行が第一である。学んでも行動しなければ社会の役には立たず、学ばずに行動すれば社会に害をもたらす。」と言ったとされます。松陰のその類まれな行動力に、至誠が伴っていたからこそ、志ある者がどんどん感化されていったわけです。そしてその至誠は、祖国、先祖を愛し、救国済民のために、国柄を生かし正しい国のかたちをつくろうとする政治思想の裏付けがあったことは言うまでもありません。
ちょうど今から5年半前、平成14年10月25日から26日にかけて1泊2日で山口県の下関や長府の功山寺、萩の城下町を、当時の琴線に触れるべく一人旅したことを思い出します。史跡巡りをしながら何ともいえない幸福感や気持ちの高ぶりを感じ、志を固めたのを覚えています。
リーダーというものは、「志の高さ」によって価値が決まるのであって、今の地位や過去の業績、年齢、ましてや貧富などによって価値が決まるものではないことを申し上げて、リーダー学での初稿の結びとさせて頂きます。
(下関市の櫻山神社招魂場/中央が松陰の霊標) (萩市の松下村塾跡)
右松たかひろ

■住吉事務所(宮崎市北部10号線)/(写真および地図)
〒880-0121 宮崎県宮崎市大字島之内1572番地6
TEL : 0985-39-9211 FAX : 0985-39-9213
□E-mail : info@migimatsu.jp (宮崎事務所本部連絡所および宮崎市北部10号線住吉事務所共用)
□Twitter :https://twitter.com/migimatsu5