
2009年04月04日
西松建設のダミーの政治団体から迂回献金を受けていた民主党小沢代表の公設秘書逮捕事件は、現時点でいまだ政治的けじめのつけられないまま、1ヶ月以上経過しています。収賄ではなく収支報告書の虚偽記載で会計責任者の逮捕に至ったことへの疑念からか、検察当局との全面対決の姿勢を崩していません。しかし、国民の眼からすれば、3年間で3500万円もの多額の献金を受けながら、その出どころは関知していないとの説明に得心のいく人はいないと思います。司直による全容解明を見守っていくと共に、今回の事件が、政治不信、政党不信の助長に結びついたことは否めない事実であることを軽々しく受け止めてはならないと存じます。
政治と企業・団体献金の問題は、随分前から国民の眼が厳しく注がれており、政治資金規正法も様々な事件を契機に幾度となく改正が行われてきましたが、依然として政界の根深い問題であることが、今回また白日の下にさらされたわけです。企業・団体からの献金を禁止することは、さかのぼれば、1994年に政党助成法が成立し、国民1人あたり年間250円を新たに負担し、総額で320億円にものぼる政党交付金を、各政党に支給する代替条件であったはずです。企業・団体献金の政治家個人への全面禁止はもとより、政党への献金も見直すとの附則議決があったにも関わらず、議論の末、政党への献金は認められることとなり、更なる法の抜け道として政党支部への献金も認めてしまった経緯があります。それによって、今や1万以上の政党支部が全国に存在している有り様になっています。従って、国民の負担によって政党交付金を導入した当初の目的(企業・団体からの献金の禁止)が有名無実化しているのが現状であり、国民との約束がいつのまにか反故にされ、二重取りとの指摘さえも受けています。
企業・団体献金については、政党交付金を導入し14年も経過し、且つ政治とカネの問題が後を絶たず、遅きに失した感もありますが、法の抜け道としてつくった政治団体から政治団体への献金はもとより(企業献金と認識した迂回献金は論外ですが)、政党支部への献金も全面禁止にし、国民からの信頼をかち得なければならないと存じます。唯一、企業の政治活動の自由の観点から、政党本部への献金のみ再考すべきではないかと存じます。
2008年09月06日
中曽根元首相が40年前に提唱し、小泉元総理が2001年に「首相公選を考える懇談会」を設置したことで一躍国民的論議を巻き起こした首相公選制ですが、一時のブームも過ぎ去り、最近では影が薄く議論される機会もめっきり減ってきた感があります。しかし、政治課題としてまたいつ俎上に載るか分かりませんので、あえてこの問題に触れさせて頂きますが、私はこの首相公選制の導入には反対の立場に立っています。今から8年程前に民間人を中心に「首相公選の会」というものが発足し、私も趣旨・目的を聞きに会場に足を運んだこともありましたが、私は当初からこの首相公選制の導入には疑問を感じており、最初に受けた直感的なものから、その後精査していく中で、やはりこの制度は我が国の政治土壌や日本の政治を取り巻く現在の環境や権力構造から鑑みて、将来に禍根を残す可能性が非常に高いと確信を持つに至っております。以下にその理由を述べさせて頂きます。
まず一つは、制度の並立が国家運営に多大な困難を生む恐れがあるということです。私は、創憲論者ですので、67条で規定する議院内閣制の改正はそれほど問題視をしておりません。むしろ、国民が選ぶ全国会議員と、同じく国民の直接選挙で選ばれた内閣総理大臣が発議や議決の乖離によって不安定な議会運営を余儀なくされ、逆に首相の指導力を弱めてしまう結果になりはしないかという、権力の二重構造、制度並立の難しさを懸念しています。たとえ政党人たる国会議員から選出するにしても、直接選挙によれば必ずしも国会の多数政党から首相が誕生するとは限りませんし、国会議員以外から首相が任命されることになれば尚のこと、制度上よほど強い権限を首相に持たせなければ議会運営は至難を極めるものと予測されます。
二つめに、国家元首における整合性、つまり天皇陛下と公選首相(大統領に近い)との関係を明確に図れるかという問題です。我が国は、歴史を顧みても国際社会からの評価を鑑みても、国家元首は天皇陛下であって、それを未来へ堅持していくことが、為政者として自国の歴史に責任を持つことではなかろうかと思っています。
最後に、現代の日本政治を取り巻く環境や構造から察すれば、やはり人気投票に陥る可能性が否めないことやマスメディアを始めとした世論を形成する過程にまつわる一抹の不安を感じざるを得ないのが正直なところです。首相公選は、一過性のブームの中で議論されるものではなく、そのメリット・デメリットをしっかり煮詰め成熟した議論が求められてしかるべきと存じます。
右松たかひろ
2008年05月22日
我が国の唯一の立法機関である国会が、昭和21年に前身の帝国議会を引き継いで61年経過した今日、国会は大きな曲がり角に来ていると思います。前回のコラムでは、「ねじれ」で表面化した議会運営の問題点およびその改善策を述べましたが、今回は国会改革の中でも、根幹ともいえる「議員定数」について触れたいと思います。私は、国会改革についてもうここまで政治不信が極まれば、常識の範囲内での若干の手直しぐらいですと、国民からも見放されますし、国を憂う公人としての資質、国難に立ち向かう議員としての覚悟を問われても致し方ない状況に来ていると感じます。850兆円を超える財政赤字を抱えたこの期に至っては表面を取り繕った改革に国民がごまかされることはもうありません。ならば、常識を超えた国会改革を断行すると腹をくくるしか、先に進む道はないものと考えます。
さて、国会議員の数ですが、私は現在の二院制は継続して構わないと考えますが、議員数におきましては、衆議院は小選挙区のみで定数半減の240名。そして参議員は、衆議院と同じく比例を廃止した上で、四分の一の定数60名で十分だと思います。合計数が、現在の722名(衆議員480名、参議員242名)から6割近い削減の300名となります。単純に議員歳費だけの削減ですと、一人当たりの歳費が年間約3500万円ですから、年計147億円の経費削減となりますが、政党交付金や議会職員費、光熱費なども当然に税金から支給されていますので、政党交付金の半減だけでも約160億円、議員特権であるJR無料パスや航空運賃、公設秘書や議会職員の給与、院車にかかる経費、光熱費なども入れれば、年間1000億円以上の経費削減が可能となります。政府試算で明らかとなった、議員一人当たりにかかる経費3億1078万円で計算しますと、年間1315億円の削減となる計算です。地方分権を進め、国政の役割を絞っていけば、国会議員の数は、300名で十分足りるものと考える次第です。
なお、定数削減においては、二段階を踏んで上記数字に到達することを考えており、初回は衆議院を小選挙区のみ300名、参議院を100名程度とし、その後、道州制を見据えた上で、人口と面積を考慮に入れて適正に区割り調整を図り、二回目で衆議院240名、参議院60名へ移行すべきと考えます。
右松たかひろ
2008年03月28日
昨年の参議院選挙以降、衆参での「ねじれ国会」となっています。いずれかの政党が国民の多くが支持する真の国民政党へと脱皮しない限り、少なくとも今後6年間はこのねじれ現象が続く可能性を考えると、現況の議会運営での問題点を今の内に解決しておかなければ、国民本位の政策論争よりも政局がらみの不安定な国会運営が繰り返される懸念があります。国民注視の中で、対案を出し合い活発な政策論争をしてこそ、ねじれの良さが生きてくるわけですから、「ねじれの利点が顕現する国会」へと、慣習や審議のあり方、日程調整など国会戦術の見直しを図っていくことが求められます。不毛な党利党略で国民生活が混乱し不利益を与えることは与野党第一党とも決して本意ではないと考えるからこそ、国民の投票結果を裏切らない国会へと転換していかねばなりません。
ねじれ国会を想定した国会法や国対ルールへと改める際に前提となる基本方針は、二院制という制度の中で、それぞれの院の第一党は政権政党である無し如何を問わず、その院での結論を導く責任政党としての義務を、制度上でも負わなければならないと明確化することです。その院の責任政党(第一党)が拒否をするからには、必ず対案を提示しなければなりませんし、率先して徹底的に国会審議をする責務を負います。その上で、たとえ大きな隔たりがある法案についても、法期限内(失効前)に一定の結論(歩み寄り)を得る義務が第一党には生じます。60日ルールの短縮とともに、会期不継続の原則を廃止することも検討されて良いのではないでしょうか。また、委員会もあらかじめ決めた日程を遵守するように改め、無用な先延ばし戦術を排除していきます。真摯な政策論争により国民に利することこそが、ねじれを選択した国民の望むところで、権謀術数の駆け引きが高じれば、国民から手痛いしっぺ返しが待っているのは眼に見えています。
政治の停滞で苦難を被るのは国民自身ですし、ことあるごとに解散がちらちらする不安定な政治では、国民本意の抜本改革にも腰を据えて取り組めません。ですから、ねじれでも政治の停滞を招かないよう、議会運営の新しいルールをしっかりと定め、各院での責任を果たす健全な国会の姿を強く望む次第です。
右松たかひろ

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