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みぎまつコラム

平成24年3月5日県議会【一般質問】(第2回目)の会議録

2012年07月17日

 2回目の本会議での登壇となった平成24年3月5日の2月定例県議会本会議において行った「一般質問(質疑および答弁内容)」の会議録が、宮崎県議会ホームページにおいて公開されましたので下記に掲載します。

 (※文字数が多いため、全文ではなく、省略部分もありますのでご了承ください。)
  

≪1.知事の政治姿勢について≫

◆(右松隆央議員) 〔登壇〕(拍手) 自由民主党、右松隆央でございます。きょうも多くの方々に傍聴に来ていただきまして、心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
 今の時代、そしてこれからの時代にどのような政治家が求められるのか。私の考える今の時代に求められる政治家像でありますが、その大きなヒントが、中国の古い書物に「呻吟語」というものがございまして、この「呻吟語」の中に書かれてあると考えております。
 「呻吟語」には、政治家の人物評として第1級から第5級まで書かれてあります。第3級から申し上げますと、第3級の政治家とは、「事なかれ主義で時勢の成り行きに従うまま、従来の因習に任せるまま、特に利を興すことも害を除くこともない。まさに平々凡々の人」と書いてあります。そして、1つ上の第2級の政治家は、「仕事もスピーディーで意見も堂々と主張する。家のように国を愛し、病のように時局を憂える。しかし、抜き身の刃物のようなところがあって、得失が相半ばする人物」と書かれてあります。そして、最上位の第1級の政治家とは、「人物が大きく、深い信念を持ち、時勢を先の先まで見通して危機管理ができる。そして、私たち人間は、日光や空気や水がなければもちろん生きていくことはできないわけであります。しかし、私たちは、この日光や空気や水は当たり前のようにある存在として、その恩恵に平素気づくことも考えることもないわけであります。それと同じように、人々に知らず知らずのうちにはかり知れない幸福を与えてきながらも、一向にそれらしいそぶりを見せない」。これが第1級の政治家だと書いてあります。まさに、徳のある政治家像だと思っております。私は、そのような政治家を目指してまいりたいと強く思うものであります。
 さて、今の宮崎の現状でありますが、大変厳しいものがある、このことはさきの9月の定例会でも申し上げたとおりであります。しかし、私は同時に、この宮崎にはすばらしいポテンシャルがある、そのように確信をいたしております。その一つの大きなものが、私たちが誇る神話にまつわる史跡や文化であります。「日本のふるさと」と言われ、全国を見渡しても宮崎にしかない希代の地域資源を突破口に、宮崎の再生・再建に何としてでもつなげていかなければならないと、私は強く確信いたしているわけであります。そのためには、まず、私たちの宮崎の足元の宝を、そのすばらしさを知らなければならないわけであります。原点を知るということがいかに大事か、これは私たち人間も、そして地域も宮崎県も、そして我が国もそうであります。
 私が出生をしたのは西都市であります。小学生からは宮崎市内で育ったのでありますが、この生まれたところはどういったところなのか、一時期、今から10数年前でありますけれども、一生懸命調べた時期がございました。みずからの原点、出発点を知るということは大変大事なことだというふうに思っております。そしてそれは、先ほど申しましたように、宮崎県にとっても、国にとってもそうだというふうに考えております。そういった中において、「日本のふるさと」、そのように言われる宮崎の真の価値というものを心の底から感じていくものだと私は思っております。知事に伺いたいと思います。私たちの宮崎の宝、希代の地域資源を突破口に、県民の皆様に活力と誇り、そして夢を与えることのできる事業とは何なのか。そして、インパクトのある強いメッセージとは何なのか、伺いたいと思います。あわせて、知事の目指す、理想とする政治家像についてもお伺いしたいと思います。
 後は質問者席にて質問を行わせていただきます。ありがとうございます。(拍手)〔降壇〕

◆上記、冒頭演説の模様を、動画(YouTube)から掲載します。

 

◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えいたします。
 まず、地域資源の活用によるメッセージということでございます。私は、豊かな自然環境、神話や伝説に始まります悠久の歴史や文化、そして、そのもとではぐくまれた人情味豊かな県民性やさまざまな産業や産物、さらには数々の災害を乗り越えて、より強くなった県民の皆様のきずな、これが本県が誇る宝であるというふうに考えております。大変厳しい時代にありまして、右肩上がりの成長が期待できない中、本県の新生、さらには浮揚、そして確かな未来を築いていくためには、県民の皆さんが一体となってこの宮崎の宝というものを再認識し、そして最大限に生かし、新しい価値を創造していくことが必要であると考えておるところでございます。ことしは、古事記編さん1300年に当たり、8年後の日本書紀編さん1300年を見据えた記紀編さん1300年記念事業も、そのような考え方のもとに本県の宝というものを再認識し、それを磨き、より強く発信していく、地域づくりに生かしていく、そのような取り組みを進めてまいりたいというふうに考えておりますし、広い意味での地産地消の運動も展開してまいりたいと考えております。これも、宮崎の宝というものをみんなで知り、それを活用し、より広めていこうという取り組みでございます。このような発想のもとに本県の宝を磨いていく、発信していく、そのような取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 次に、政治家像についてであります。政治家は常に国民とともにあらねばならないというふうに考えておるところでございます。常に国民に、また住民に寄り添い、住民の目線に立った政治を行う必要があるものというふうに考えておりまして、私の政治姿勢として掲げております「対話と協働」も、そのような意味において、県民の皆様との対話を重視していきたい、そのような考えでおります。また、リーダーとしましては、いかなる厳しい状況下にありましても、やはり夢や未来を語ることが大事であろうというふうに思っております。そこへ住民を導いていくために明確なビジョンと戦略を示し、断固実行していくこと、そしてその結果に対してしっかりと責任を持つこと、さらに大事なことは、決断すべきときには逡巡することなく決断すること、そして未来に向けた種をまいていくこと、必ずしも自分が刈り取ることができなくても、未来の宮崎のための種まきをしっかりとしていくこと、それが大変重要であるというふうに考えております。なかなか人目を引く派手な立ち回りはできないかもしれませんが、宮崎の未来のため、確かな未来を築くために、その礎というものを着々と、しっかりとしたリーダーシップを発揮しながら築いてまいりたい、そのように考えておるところでございます。以上であります。〔降壇〕

 

≪2.宮崎の神話と史実について≫

◆(右松隆央議員) この質問は通告にないんですが、一つちょっとお伺いしたいというふうに思っております。知事は高千穂の夜神楽をごらんになられたと思いますが、そのときの感想をお伺いさせていただければありがたいなと思っております。

◎知事(河野俊嗣君) 高千穂の夜神楽は、以前この議会でも答弁いたしましたNHKホールで行う「地域伝統芸能まつり」、その第1回目に来ていただいて、それを拝見したことがあったんですが、実はそのときは、舞台上で行われる神楽というものが、見ていて間延びした感じがして、どうかなという思いがいたしました。しかし、宮崎に来まして、現場で実際にその迫力を間近で見る神楽というものは、やはり違ったものとして迫力を持って伝わってきたと。やはりその土地土地で演じられるもの、なぜ守られてきたか、なぜそれが地域のきずなになってきたのかというのは非常に実感をしたところでございます。地域の歴史、きずなそのものが刻み込まれた神楽である、そのような認識をしております。

◆(右松隆央議員) ありがとうございます。私は先月の頭に、小学生の2人の子供と家内を連れて佐賀県の吉野ヶ里遺跡を視察に行ってまいりました。そして、その帰りに、知事が推奨される100万泊県民運動に貢献しなければいけないというふうに思っており、そして子供たちには宮崎の神話のすばらしさをぜひ体感してもらいたいと思いまして、高千穂に家族で宿泊をしたわけであります。その晩、家族で高千穂神社の夜神楽を見たのでありますが、子供たちも、日常生活ではとても感じることのできない大いなる刺激を受けていた様子でありました。イザナギノミコト、イザナミノミコトによる国産みの舞である御神躰の舞、酒おこしの舞とも言われているようですが、夫婦円満、そして酒に酔い、抱擁の姿に、家族みんなで、また多くの会場の皆さんとともに大笑いをしたのであります。知事も御存じのとおり、国の重要無形民俗文化財に指定をされ、かつ、ほとんどの地域が神楽の舞の部分だけが登録対象になるのでありますが、高千穂の神楽だけは、準備段階から終了後の儀式まで夜神楽にかかわるすべての流れが登録対象に含まれるという、極めて歴史的価値の高い、まさに高千穂の夜神楽、存在そのものが重要な文化遺産と言っても過言ではないと思っております。魂を奪われるとはまさにこのことで、ぜひ県内の方々、そして子供たちは特になおさら、高千穂に泊まっていただいて、魅惑的で幽玄な世界である夜神楽のすばらしさを体感していただきたい、そのように強く願うものであります。

◎知事(河野俊嗣君) 神話というものは、昔の人たちが自分たちを取り巻く自然でありますとか、それまでの生活体験というものを踏まえて、自分たちなりに世界観なり、哲学なり、知恵なりというものを盛り込んで、この世の成り立ちや、なぜ我々はここに生きているのか、その根拠を語った、語り継いできたものだというふうに認識をしております。昔、地震、津波、洪水、台風等、圧倒的な自然の力に向き合いながら、神話として語られる時代に生きた人たちがどのようにこの国を形づくってきたのか、そんなものがいろんなところで伝承され、口伝えに語り継がれることにより、それが形となって神話となったのだというふうに考えておるところでございます。
 「岩戸開き」というお話がございました。この数年間、本県も、また我が国も、口蹄疫、それから大震災等、さまざまな災害に見舞われたところでございますが、これはイメージといたしまして、あたかもアマテラスオオミカミが岩戸にお隠れになったかのような、光が失われてしまったかのようなさまざまなつらい災害、大変な経験をしたわけでございます。これを何とか道を開いていきたい、光が差し込む、将来に向けて希望が持てるような、そういう年にしていきたい、そのような思いから「岩戸開き」ということを申し上げております。記紀編さん1300年記念事業を通じて、自然に対する畏敬の念というものを改めて神話から学び取るというのも大切なことだというふうに考えておりますし、県民の皆様の力を結集して元気を出していく、経済の活性化を図っていく、岩戸を開いていく、そのような取り組みを進めてまいりたいと考えております。

◆(右松隆央議員) 冒頭、壇上で申し上げましたが、宮崎の神話は、全国見渡しても、ここ宮崎にしかない希代の地域資源だと誇りを持って言えるものであります。日本の文化とともに歩まれる「皇室の発祥の地」という、何物にもかえがたい「日本のふるさと」そのものが、ここ、ひむか、宮崎にあるわけであります。だからこそ、神話の本家本元はこの宮崎だと、強い決意と覚悟を持って、記紀編さん1300年記念事業にも取り組んでいただきたいわけであります。宮崎のよさを、すばらしさを、そしてもっと大きく言えば宮崎の使命を心底感じていただきまして、この記紀編さん1300年記念事業に心を、そして魂を入れてもらいたいと強く申し上げたいところであります。
 続いて、記紀編さん記念事業の主役である古事記、そして西暦712年につくられた古事記よりも400年以上前につくられた、西暦280年から297年の間に書かれ、3世紀の日本を知る史料でもある中国の歴史書「魏志倭人伝」について、それぞれどのような印象を持っておられるか、あるいはどう評価されていらっしゃるのか、知事に伺いたいと思います。

◎知事(河野俊嗣君) 古事記につきましては、神代の時代から推古天皇に至るまでの話が記された我が国の最古の歴史書ということでございまして、神話についての考え方は今申し上げたとおりですが、そういった神話や歴史というものを今に伝える大変貴重な財産であるというふうに考えておりますし、またその神話の多くの部分が宮崎が舞台であるということで、本県にとっても大変貴重な宝という認識でございます。
 魏志倭人伝は、3世紀末に書かれたものでございますが、これは、中国の正史の中で初めて我が国についてまとまった記述がなされたものということでございまして、邪馬台国に関する話など、当時の我が国の姿を海外の目を通して知る手がかりとして大変貴重な史料であるという認識でございます。

~ 中 略 ~

 

≪3.地域経済再生策について≫

◆(右松隆央議員) 実は、自民党会派の総務政策部会で昨年10月に北海道へ視察に行き、北海道立食品加工研究センターを訪問してまいりました。北海道の食品工業は道内の工業出荷額の4割を占めておりまして、本県同様、重要な基幹産業になっております。そして、この産業のかなめになっているのが北海道立食品加工研究センターであります。そのことがわかる数字としまして、北海道内の食品関連企業2,300事業所のうち、実に1,000社以上が食品加工研究センターの技術を利用しているということでありました。すなわち、企業への技術提供、企業との連携というものが、ここのセンターの活動目的の大きな主眼になっているということであります。このセンターが、全国一の食料品製造基地である北海道の食というものをしっかりと下支えしているということを、強く感じた次第であります。
 翻って、本県ではどうか。このセンターと同じ役割を期待されるところが、宮崎県食品開発センターであります。実は、先日、宮崎県食品開発センターを訪問しまして、いろいろとお話を伺ってまいりました。そこで感じたことも含めまして、質疑をしてまいりたいと思います。先ほどの御答弁でもありましたが、1次産品をいかに製造加工することで付加価値を高めていけるか大きな課題と。逆に言えば、食料品製造加工分野というのは大きな伸び代があるというふうに、私は認識いたしております。工場ができれば当然、雇用にもつながっていきます。そして、中山間地域においては、まさに地域おこしの産業としても食品加工は大いに期待が持てる、そのように私は認識いたしております。
 そういった中において、先ほどの北海道立食品加工研究センターの取り組みで大変参考になるというものがございました。北海道立食品加工研究センターは、ビジョンの策定時に数値目標を掲げ、その中には付加価値率であったり、あるいは研究開発の品目であったり、企業への技術支援の数なども含まれております。そして、技術移転した商品が、商品化されたものがどれぐらい売り上げを上げているのか、そこまで追跡調査をしているわけであります。そこで、商工観光労働部長にお伺いしたいと思います。本県の付加価値率の向上、そして宮崎県食品開発センターでの研究開発、あるいは企業への技術移転などについて、具体的な数値目標を盛り込んでみてはいかかでしょうか、お伺いしたいと思います。

◎商工観光労働部長(米原隆夫君) お尋ねのありました数値目標の設定は、非常に大事な視点であると考えております。食品開発センターは、本県の農産物の付加価値を向上させるための役割等を担っておりまして、その研究開発、技術支援機能の充実を図っていくことが大変重要であります。このため、センターにおきましては、大学や民間企業の委員で構成される研究業務検討委員会の意見を聞きながら、市場や県内食品企業のニーズに対応した研究開発を行いますとともに、企業技術者の育成を目的とした研修会の開催や、計画的な設備機器の新設・更新を行うなど、技術支援機能の充実を図り、食品関連産業に対する支援に努めてきたところであります。このような中で、御提案のありました数値目標の設定につきましては、食品開発センターの県内食品企業等への支援に大きく資する業務、事業等について、今後検討してまいりたいと考えております。

◆(右松隆央議員) ぜひ、取り組んでいただきたいと思います。そして、目標設定と同時に、食品開発センターをいかに充実した体制にしてあげられるか、これも大変重要なことだと認識いたしております。現在、食品開発センターにおきましては、所長兼部長以下、食品開発部に8名、そして応用微生物部に5名の、計13名の職員が在籍しております。全員が異動もあり得る農業職などになっております。所長は35年、副部長は21年、応用微生物部長が13年と、長く在籍しておられる方もいらっしゃいますが、若手などは定期異動があれば、その都度、一からスキルを学ぶ必要が出てくるわけであります。本来は専門的に従事する研究職というものが必要とされるところではないかと私は考えております。
 ちなみに、北海道立食品加工研究センターは、2年前に独立行政法人に移行する前においても、職員数37名のうち27名が研究職員でありました。そして、現在も、40名のうち研究職が30名ということになっております。この北海道立食品加工研究センターでありますが、20年前の平成4年に、当時の横路北海道知事の、「農業と結びついた食品工業の振興がこれからの北海道を支えていくんだ」と、そういう強い信念のもと、選挙公約で設立が実現したものであります。トップの並々ならぬ志が、後の北海道の食品工業を支える基盤に結びついたわけであります。知事にお伺いしたいと思います。宮崎県食品開発センターの予算拡充と増員、並びに異動のない研究職を配置してセンター機能をさらに強化していく考えはないのでしょうか。

◎知事(河野俊嗣君) 食品開発センターでありますが、九州では唯一、食品部門を独立させた試験研究機関になっております。本県の食品関連産業を研究開発や技術支援の面で支える、大変中核的な機関というふうに考えております。先日もある経済界の複数の方から、食品開発センターのだれだれさんに大変お世話になっていますという具体的な話を伺いました。
 今、異動という話もございましたが、研究職の異動につきましても、職員の意欲や業務の進捗状況等も踏まえながら、通常よりも在任期間を長くするなど、研究職で平均10年ぐらいということでございます。柔軟に対応しているところでありまして、そういう中でいろいろ人脈も築きつつ、さらには腰を据えた研究というものに取り組んでいるというふうに考えております。これまでも、設備機器も含めた体制の整備に努めてきたところでございますが、引き続き、現場の声にもしっかりと耳を傾けながら、必要な体制を整備してまいりたいと考えております。

◆(右松隆央議員) 北海道もそうでありますが、やはり資本力の小さい中小企業が多いわけであります。北海道も、技術提供、そういった分野でかなり貢献しているところでありますので、宮崎の再生・再建に大きく寄与できる極めて有望な食品加工製造分野の、いわば核となるところですから、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 本県の持つすばらしいポテンシャルは、先ほど申し上げました神話もそうでありますが、安心・安全でおいしい農水産品もそうであります。この宝を最大限に生かしていくためにも、そして宮崎の再生・再建につなげていくためにも、本県がこれから食料品製造基地としての役割を担っていくんだという知事の抱負を伺いたいと思います。

◎知事(河野俊嗣君) 世界的な人口増加、昨年は人口がいよいよ70億人を超したわけでございます。安全で安心な食料の確保というものは、今後、大変重要な課題、世界的な課題になると考えておりまして、本県は国内外の食料需要に対し大きく貢献できる力を持っていると考えております。農業産出額は約5位、平成22年は口蹄疫等の影響により7位になったわけでございますが、全国上位にあり、随分以前は産出額30数位というところから、先人の努力によりそこまでの農業・食料品供給基地として位置を築いてきたわけでございます。アクションプランにおきましても、フードビジネス展開プログラムというものを重点施策として位置づけまして、農業生産はもちろんのこと、本県の強みを生かした農商工連携や6次産業化の推進、さらには食品加工産業の育成強化など、総合的な食料供給産業の構築を図り、本県が日本を代表する食料生産基地となりますよう、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

~ 中 略 ~

 

≪4.地方交付税について≫

~ 中 略 ~

◆(右松隆央議員) 方向性は私も同じでありますが、この問題は、本質的には、臨財債による振りかえを廃止してもらいまして、本来のルールどおり、交付税で所要額の全体を手当てするようにすべきものだというふうに考えております。それをするための国税5税の法定率分を引き上げる、そしてそのことができなければ、交付税の原資というものは、特会の借入返済に充てるよりも、当該年度の交付税の交付財源に充てることを優先していく、そういう方針を国はとるべきだと私は認識いたしております。国税5税の法定率の引き上げの分と兼ねて、私はそのように考えているところであります。
 知事にさらに伺いたいと思います。現在の地方交付税の制度は、そもそも交付税制度の原点である地域間の財政力の格差を是正するという財政調整機能というものが働いていると考えておられるか、見解をお願いします。

◎知事(河野俊嗣君) 御指摘のように、地方交付税制度というのは、地方公共団体間の財政力の格差というものが、どうしても都市部、地方部に生じておるところでございまして、すべての地域において標準的な行政サービスを受けられるように財源を保障する、財政力を調整しておるものでありますが、その機能が十分に発揮されるためには、地方交付税の算定におきまして、地方が必要とされる経費が適切に算入されるということが大事であります。地方財政計画に基づき、ほとんどの経費につきましては算入されておりますが、例えば、地方単独の医療費助成など実際に支出をしている経費であっても標準的なものとはみなされずに、算入されていないものもあるわけでございます。本県は自主財源に乏しく、地方交付税等に大きく依存しておるわけでございまして、今後とも、地域の活力を高める取り組みを、しっかりとした財源を持って進めていくためには、必要とする経費が適切に地方交付税の算定に加えられることが大事でございます。その機能が今まで以上に充実強化されるべきものというふうに考えておりますので、国に対して、地方の実情、宮崎の実情というものを訴えて、適切な算入がなされるような働きかけを、これからも続けてまいりたいと考えております。

◆(右松隆央議員) 私は、もう一つの切り口で留保財源率について考える必要があるというふうに考えております。留保財源率は、現在25%になっておりまして、地方税収の75%が基準財政収入額に算入される仕組みに制度上なっているわけであります。実は、平成14年度までは留保財源率は20%でありました。しかし、これは恐らくでありますが、地域間の競争強化、そのための施策と言っても過言ではないと私は思うんですが、25%に引き上げられているわけであります。それでどのようになったか。財政力の強いところは、留保財源率が高まったことで、より多くの超過財源を手にすることになり、留保財源の規模の格差による地域間の財政格差というものはさらに拡大を招く結果になったと私は考えております。このことによって本来の財政調整機能が結果的には弱まった、そのように言わざるを得ないというふうに思っております。留保財源の縮小というものは、自治体の地方税の収入に影響するものではなくて、あくまでも交付税の配分にかかわる計算上のルールであります。そして、財政力の弱い自治体への交付税の配分が相対的に手厚くなるという効果を生むものであります。財政調整機能を働かせるために、基準財政収入額の算入率を引き上げる、すなわち留保財源率を引き下げることが、本県のような財政力の弱い自治体にとっては有効だと考えておりますが、知事の見解を伺いたいと思います。

◎知事(河野俊嗣君) 地方交付税のかなり技術的なところの議論になっているところでございますが、御指摘のように、留保財源率の引き上げというものは、地方交付税の改革、地方交付税のあり方が非常に議論になった中で、財源保障機能というものをどう考えるかというのと、もう一方では、今御指摘がありましたようにインセンティブですね。地方が、財源確保のためのインセンティブ、また自立性を高める、その綱引きの中でどのようにしていくか、地方交付税に依存するのではなく、もっともっと地方が自主的に努力する余地というものをふやすべきではないかということで見直しがなされたものでございます。地方交付税の算定上算入される地方税収の割合が現在75%となって、留保財源率25%ということでございますが、すべての地方公共団体の財政需要を完全に把握するということは困難でありまして、捕捉し切れない経費に見合う収入を残しておく必要があるということと、税収を100%算入して留保財源がゼロとなれば、例えば産業振興などの努力によりまして税収が増加しても、それと同額の地方交付税が減少してしまうという仕組みになる。すなわち、税収確保に向けたインセンティブが働かなくなることから設けられておるものでございます。留保財源率を引き下げた場合は、交付税制度によりまして保障される財源の範囲が拡大し、財政力格差を調整する機能もより強く働くわけでありますが、一方で、交付税の算定において算入されたもの以外の施策を行うための財源というものも縮小して、地方の自主的な行政運営が弱まる面もあるわけでございます。
 いずれにせよ、冒頭申し上げましたように、保障機能をどれだけ大きくしていくかというのと、インセンティブなり、自立性というのをどれだけ促していくのか、この中でどこに線を引いていくかという議論なわけでございます。その中での、改革の取り組みの中で引き上げられたものでございまして、大切なことは、留保財源をどこに設定するかというお話は、地方交付税全体の総額の話、先ほど御指摘の、法定率の引き上げというのもありましたが、国自体に財源がないという厳しい状況の中で法定率を上げるのは非常に困難だ、全体として財源、パイを確保していくその取り組み、そして地方交付税の総額をしっかりと確保していく、これが重要であるというふうな認識でございます。

~ 中 略 ~

 

≪5.地震津波防災対策について≫

◆(右松隆央議員)  さて、最後の5つ目の地震・津波対策、防災対策について伺いたいと思います。
 質問事項、2つ続けて御答弁いただきたいと思います。まずは、現在までに県が把握している津波避難ビル、津波避難タワーの指定数及び設置数をそれぞれお伺いしたいと思います。あわせて、津波避難ビル、津波避難タワーの確保について、年次的な目標はどうなっているのか、総務部長にお伺いします。

◎総務部長(稲用博美君) まず、数の関係ですけれども、東日本大震災での津波による人的被害の状況を踏まえ、本県沿岸の各市町において避難場所の見直しを進めていただいておりまして、平成24年3月2日現在で沿岸の市町に確認したところ、津波避難ビルとして指定されている施設が計107カ所、津波避難のための専用の津波避難タワーについては、現時点では設置されておりません。
 なお、津波避難ビルの指定がされた施設以外で、津波に対して一定の高さが確保できる公共施設など、津波の避難場所として指定されている施設等は666カ所であります。
 それから、今後の計画でありますが、新たな津波浸水想定区域の見直しに伴う津波避難ビル、津波避難タワーの確保につきましては、県の津波シミュレーションの結果を受けて、市町において改めて整理されることになるというふうに考えております。現時点で年次的な計画をお示しできる段階にはございません。しかしながら、津波に対する避難場所につきましては、県民の生命を守る視点から、可能な限り早期に必要な施設が確保されるよう、沿岸の市町とも連携を図ってまいりたいというふうに考えております。

◆(右松隆央議員) 東日本大震災を受けて津波浸水想定区域の見直しが控える中、津波避難ビルが107、そしてそれ以外でも津波避難場所として666カ所指定しているということは、沿岸市町村が漸次、避難場所の確保に向けて取り組んでいるということがわかる数字だというふうに思っております。
 防災対策特別委員会におきまして、昨年11月に静岡県庁に伺ってまいりました。ちなみに、直近の数字を県庁に伺いましたところ、2月1日現在、津波避難ビルの指定が1,032棟、そして津波避難タワーが7基、さらに山の斜面などを切り、コンクリートで整備をした津波避難マウントが8カ所ということでありました。
 地震が発生して津波が来たらどこに逃げればよいか、住民にとって、県民にとっては、これは身を守るための重大事項であります。中央防災会議の専門調査会の最終報告が出ております。それによると、津波対策について避難完了までの目安となる時間は5分程度と設定されております。ということは、走って逃げられる人ばかりではありませんので、半径300メーター圏内に避難ビルが必要だということになるわけであります。それ以上離れたところにあれば、避難困難地区と言わざるを得ないのではないかと考えております。この避難困難地区をいかに解消していくか、これは県民の生命を守る上でも極めて重要なことだと私は考えております。そこで、知事にお伺いしたいと思います。特に、沿岸部の住宅街などで避難場所の確保が難しい、困難であるところに対して、静岡県あるいは他県も取り組んでおられますが、鉄骨式の避難タワーの新設を考えておられるか、お伺いしたいと思います。

◎知事(河野俊嗣君) 御指摘のように、南北400キロの海岸線を有する本県において、必ずしも静岡なり他県のような津波対策というものが十分にこれまで蓄積があるわけではないという状況を、大変深刻に受けとめておるところでございます。先日もある防災対策のシンポジウムにおいて、沿岸部の方が、避難すべき場所を考えているけれども、なかなかない、高台がない、避難すべきビルというのもなかなかないんだ、どういうふうにしたらいいだろうかというようなことを考えておられました。
 県が今、東日本大震災での津波被害を踏まえた新たな地震・津波の想定見直し作業というものを進めておりますが、これによりまして、これまでの津波浸水想定区域が拡大することになるということが見込まれておるわけでございます。その拡大をした浸水想定区域に対して、沿岸の市町─沿岸10市町あるわけでありますが─が確保している避難場所が十分でない場合には、津波避難ビルや高台など新たな避難場所を確保するとともに、このような場所が確保できない場合は、津波避難タワーのような専用の施設の設置も含めて、それぞれの市町に検討いただいて、十分な体制の確保というものを検討していただく必要があろうかというふうに考えております。県としましては、まず早急に新たな浸水想定を策定して、市町にデータを示し、そのような見直しというものを促してまいりたいというふうに考えております。津波避難タワーなどの設置が必要になった場合には、市町において相当な財政的な負担というものも見込まれる、伴うものというふうに考えておりますので、国の財政的な補助なども要望しながら、県としても一緒になって考えてまいりたいというふうに考えております。

~ 中 略 ~

宮崎県議会議員 右松たかひろ

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